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令和 3年 8月グリーン社会実現特別委員会(令和3年度)-08月25日-01号

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  1. 栃木県議会 2021-08-25
    令和 3年 8月グリーン社会実現特別委員会(令和3年度)-08月25日-01号


    取得元: 栃木県議会公式サイト
    最終取得日: 2022-12-22
    令和 3年 8月グリーン社会実現特別委員会(令和3年度)-08月25日-01号令和 3年 8月グリーン社会実現特別委員会(令和3年度)      グリーン社会実現特別委員会会議記録 1 開会日時  令和3年8月25日(水)午前9時56分~午後0時08分 2 場  所  第2委員会室 3 委員氏名   委員長    螺 良 昭 人   副委員長   関 谷 暢 之   委  員   石 坂   太          岡 部 光 子          小 菅 哲 男          野 澤 和 一          渡 辺 幸 子          松 井 正 一          保 母 欽一郎          山 田 みやこ          相 馬 憲 一 4 委員外出席議員 なし 5 執行部出席者
    (1)環境森林部    環境森林部長            鈴 木 英 樹    次長兼環境森林政策課長       渡 辺 順 一    環境森林部次長           佐 橋 正 美    環境森林部参事           大 竹 久 弥    気候変動対策課長          野 中 寿 一    環境森林政策課総務主幹       武 藤 慶 人    環境森林政策課環境立県戦略室長   大 橋 禎 恵 (2)産業労働観光部    産業労働観光部長          辻   真 夫    次長兼産業政策課長         石 井 陽 子    工業振興課長            岩 田 知 也    産業政策課総務主幹         岡 本 栄 二    産業政策課次世代産業創造室長    渡 邉   豪    工業振興課ものづくり企業支援室長  柳 田 雅 美 6 出席を求めた参考人   国立研究開発法人 産業技術総合研究所   エネルギー・環境領域 ゼロエミッション研究戦略部   イノベーションコーディネーター           西 尾 匡 弘 氏 7 会議に付した事件   経済と環境の好循環をつくる産業政策の推進について (1)本県の取組等について (2)経済と環境の好循環をつくる産業政策の推進についての参考人からの意見聴取 (3)委員間討議 8 その他の必要事項   なし             ────────────────────                  午前9時56分 開会 ○螺良昭人 委員長 それでは、ただいまから、グリーン社会実現特別委員会を開会いたします。  本日の議事録署名委員に、松井委員、保母委員を指名いたします。ご了承願います。  続いて、執行部への出席要求についてであります。  本日の委員会において、説明のため出席を求めた者は、配付資料のとおりでありますのでご了承願います。  それでは、議事に入ります。  議事(1)経済と環境の好循環をつくる産業政策の推進に関し、本県の取組等について、執行部の説明を求めます。  なお、質疑については、説明終了後に行うことといたしますので、ご了承願います。  説明は着席のままで結構です。  石井次長兼産業政策課長。 ◎石井 次長兼産業政策課長 それでは初めに、資料1によりまして、まず、国の動向について説明します。  おめくりいただきまして、1ページをご覧ください。  こちらは、国における、2050年カーボンニュートラル実現に向けた主な検討体制の全体像です。大きく分けて2つ、説明させていただきます。  まず、左側上段の地球温暖化対策エネルギー政策の見直しにつきましては、主に温室効果ガス削減のために、中長期の温暖化対策について検討を行う体制となっております。これまで、主に環境森林部から説明させていただいている部分です。詳細な説明は省略させていただきます。  次に、左側下段の成長の原動力となるグリーン社会の実現、こちらは菅総理大臣が昨年の10月に所信表明演説で述べられました、「積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要だ」という趣旨を踏まえまして、経済産業省を中心として検討が行われているものです。  記載の各会議で議論された内容につきまして、ページの中央右側にグリーン成長戦略とありますが、こちらに反映をされるような形になっております。同戦略につきましては、次のページ以降で概要を説明します。  なお、本年の6月に閣議決定をされました、経済財政運営と改革の基本方針2021、いわゆる骨太方針ですが、こちらにもグリーン成長戦略の趣旨が反映をされているというところです。  2ページからが、国の2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略でございますので、こちらの戦略のポイントとなる箇所を抜粋させていただきまして、産業政策の観点から説明します。  それでは、3ページをご覧ください。  ご案内のとおり、国は、2020年10月、昨年の秋に、2050年にカーボンニュートラルを実現するということを宣言しました。これまで温暖化への対応は、省エネ機器等の新たな設備投資が必要になるなど、どちらかというとコストと捉えられる面がありましたが、グリーン成長戦略におきましては、この従来の発想を転換して、積極的に対策を行うことが、産業の構造や社会経済の変革をもたらして、次の成長につながっていくとされております。そして、こうした経済と環境の好循環をつくっていく産業政策が、グリーン成長戦略であると位置づけられているところです。  しかしながら、国でも、実行するのは並大抵の努力ではできないという認識も示しておりまして、企業においては、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えていく必要があるということも言及しております。  このような中で、新しい時代をリードしていくチャンスと捉え、民間企業の前向きな挑戦を全力で応援することが政府の役割であり、具体的な見通しを示して、高い目標を掲げ、民間企業が挑戦しやすい環境をつくる必要があるとしています。  そして、産業政策の観点から、成長が期待される産業として自動車・蓄電池産業など14の分野において、高い目標を設定して、あらゆる政策を総動員するとしています。  それでは、次に4ページをお願いします。  グリーン成長戦略の枠組みの概要について説明します。  カーボンニュートラルへの挑戦を産業構造経済社会の変革を通じた大きな成長につなげるために、グリーン成長戦略では民間資金を投資に向かわせるということで、3つ目の黒丸に記載していますが、まず、予算、税、規制・標準化、それから民間資金の誘導など政策ツールを総動員するとともに、従来の財務情報だけではなく、環境、社会、ガバナンスの要素も考慮した投資である世界のESG投資(3,000兆円)を国内に呼び込むことを意識した内容となっております。  また、先ほど申し上げました14の分野別に、年限を明確化した目標、研究開発、実証、それから規制改革、標準化などの制度整備、国際連携などを盛り込んだ実行計画を策定して、関係省庁が一体となって取り組んでいくこととしています。  さらに、分野別の実行計画では、当該分野における現状と課題、今後の取組方針を示した上で、2050年までの時間軸を持った工程表が示されております。工程表では、各分野における成長を実現する上で鍵となる重点技術等につきまして、まず、①研究開発フェーズ②実証フェーズ③導入拡大フェーズ、そして④自立商用フェーズという段階を意識して、自立的な市場拡大につなげるための具体策が示されております。  なお、この14の分野に関しましては、各フェーズの進展スピードにかなり異なる点があることに留意が必要であることにも言及されております。  次に、5ページをお願いします。  こちらは、先ほど申し上げました、2050年カーボンニュートラルへの挑戦に成長戦略として取り組む観点から、今後の産業として成長が期待される分野であり、温室効果ガスの排出削減の観点からも、その取組が不可欠な14の分野です。左から、エネルギー関連産業が4産業、輸送・製造関連産業が7産業、そして家庭・オフィス関連産業3産業が記載をされております。  この中で、幾つかの分野における国の今後の取組について説明させていただきますと、まず、洋上風力・太陽光・地熱産業、これは次世代再生可能エネルギー産業ですが、このうちの太陽光につきましては、変換効率が高く軽量性や柔軟性のある次世代型太陽電池、ペロブスカイトと呼ばれているものですが、こちらの技術開発を通じて2030年を目途に普及段階への移行を図りまして、既存の太陽電池、現在はシリコン製のものが主でありますが、こちらでは設置が困難な住宅建築物等への設置拡大、市場化を実現するといったことが記載されております。  それから次に、水素・燃料アンモニア産業のうち、水素ですが、発電、燃料電池やタービンによる発電、それから輸送、自動車、船舶、航空機、鉄道等による輸送、そして産業は製鉄、化学、石油精製などが代表になるのですが、幅広い分野で活用が期待されておりますので、大規模実証などを通じて2020年代の後半以降の導入拡大を目指しております。  次に、自動車・蓄電池産業についてですが、国は、日本の自動車産業は、世界各国に自動車を供給する、世界に冠たる総合的な技術力を持つ基幹産業と位置づけておりまして、2035年までに乗用車新車の販売で電動車100%、これは電気自動車燃料電池自動車プラグインハイブリッド自動車、そしてハイブリッド自動車まで含めたものですが、これで100%の実現をするために包括的な措置を講ずることとしています。  また、関連産業には中小零細企業が多くを占める分野も多いことから、電動化への対応のほか、新たな領域への挑戦、業態転換や多角化、企業同士の連携や合併などを通じて、カーボンニュートラル実現に向けて前向きに取り組める産業構造を目指すとしております。  国では、今後、これらの14分野における実行計画の着実な実施を通じて、カーボンニュートラル社会実現可能性を関係省庁が一体となって年々高めていくこととしております。  最後に、6ページをご覧ください。  こちらは、国が設置したグリーンイノベーション基金事業についてです。2050年カーボンニュートラルの目標に向けまして、エネルギー産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションといった現行の取組を大幅に加速するため、国は令和2年度の第3次補正予算において、2兆円のグリーンイノベーション基金国立研究開発法人エネルギー産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOに造成しました。  こちらの基金では、まず、1目的・概要に記載のとおり、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援をしていくこととしています。  支援対象は、3に記載のとおりでして、支援するプロジェクトの規模は、従来の研究開発プロジェクトの平均規模である200億円以上を目安としております。  資料1の説明は以上となります。  続きまして、資料2も説明させていただきます。  こちらは、カーボンニュートラルへの取組によりまして、経済と環境の好循環をつくっていく産業政策としての面から見ました、先進的な他県の取組について説明したいと思います。  まず、1ページをお願いします。長野県の取組について説明します。  長野県では、国のカーボンニュートラル宣言に先立ちまして、2019年12月に長野県気候危機突破方針を策定しまして、この中で7つのプロジェクトを明示しております。  このうち、②環境イノベーションに関するゼロカーボン実現技術等促進プロジェクトでは、ゼロカーボン実現技術等提案窓口を設置して、その下にオレンジ色の帯でそこの部分を少し詳しく書いてあるのですが、この枠内の記載にあるように、製品開発等に向けた伴走型支援などの取組を行っております。  続きまして、2ページをお願いします。新潟県の取組についてです。  新潟県では、本年1月に関東経済産業局と協議会を設立して、港湾や首都圏等の大消費地につながる既存のガスパイプラインなど新潟県固有の地域資源を生かして、図にあります、A、B、C、3つのカーボンニュートラル産業領域での新規開発投資などを図る事業モデルを設定しております。  まず、このAですが、こちらでは二酸化炭素フリーメタンなどの脱炭素燃料・素材への転換と新産業創出を目指します。そして、Bでは火力発電所の脱炭素化を推進して脱炭素電源への転換に向けた投資誘発と、関連する設備等の運用メンテナンスを行うオペレーション・アンド・マネジメント産業の育成を目指しております。そして、Cでは新潟県内で製造したクリーンガスを県外に供給する、脱炭素エネルギーの供給新サービス開発を推進する内容になっております。  次は、3ページになりますが、茨城県の取組です。  茨城県では、二酸化炭素の排出量が多い事業所は臨海部に集中しており、大規模産業での取組が鍵であるという認識の下、茨城県臨海部をカーボンニュートラルビジネス促進区域に設定して、港湾があることや、つくば市における研究機関の集積などという県のポテンシャルを生かして、同区域をカーボンニュートラル社会にふさわしい形に変貌させることを掲げております。  取組の三本柱としまして、資料の最下段にありますように、①機運醸成②体制構築③支援充実を掲げまして、いずれも今後着手するとしております。こちらが公表されたのは今年の5月ということです。  資料2の説明は以上となります。  それでは、続きまして、資料3-1の本県の戦略・取組について説明させていただきます。  まず、1ページをお願いします。  産業労働観光部におきましては、本年3月に、本県産業のさらなる振興に向けまして、目指すべき将来像や施策の方向性と具体的取組を示して、本県の産業振興施策の基本指針となる新とちぎ産業成長戦略を策定しました。  本戦略では、資料の真ん中にあります、紫色で着色していますが、6つの重点プロジェクトと、黄色で着色している2つの基盤施策を掲げております。  この重点プロジェクトのうち、①次世代産業創造プロジェクトと、③ものづくり産業躍進プロジェクト、この2つのプロジェクトにおきましては、ご覧になっていただくと分かりますように、脱炭素社会の構築に資する新たな産業の創出・育成、それから③では県内企業における脱炭素化に資する研究開発実証事業等を支援するということで、このカーボンニュートラルの実現に向けた環境やエネルギーなどに関する社会経済情勢の変化等を踏まえた記載をしています。  それでは、2ページをご覧いただきまして、国のグリーン成長戦略と、ただいま説明しました県の産業政策の基本指針との関係を表示した資料となっております。  国におきましては、令和2年12月に、資料1で説明したグリーン成長戦略を策定したところです。県としましても、経済成長環境問題解決の両立を図る持続的な社会の実現に取り組む必要があるという認識の下、新とちぎ産業成長戦略にこのグリーン成長戦略の趣旨を盛り込んだところです。  具体的な取組としては、ページの右側に記載したとおり、脱炭素社会の構築に資する新たな産業の創出育成、それから県内企業における脱炭素化に資する研究開発実証事業等を支援、そして一番下に書きましたとおり、カーボンニュートラルに向けた成長が見込まれる分野などの新たな企業の立地促進に積極的に取り組むこととしております。  そして、3ページをお願いします。  脱炭素に関係する、ものづくり企業支援に係る現在の取組について説明します。  県では、自動車、航空宇宙、医療福祉機器を戦略3産業、そしてAI・IoT・ロボット、光学、環境・新素材を未来3技術とそれぞれ位置づけまして、未来3技術の戦略3産業等への活用促進によりまして、産業振興施策を推進しているところです。  戦略3産業のうち、2035年までに乗用車新車販売を100%電動車にすることが求められておりますので、速やかな対応が必要となっている自動車産業におきましては、環境に配慮した次世代自動車に対応できるよう、重点的に支援しております。  また、未来3技術のうち、環境・新素材技術につきましては、各種支援により脱炭素に資する技術開発を促進しております。  ただいま説明しました自動車産業、そして環境・新素材技術に関する主な取組事業は、下表のとおり、人材育成、研究開発支援販路開拓支援を柱としてそれぞれ取り組んでいるところです。  資料3-1の説明は以上となります。  続きまして、次の資料3-2の説明につきましては、工業振興課長から説明させていただきます。 ○螺良昭人 委員長 岩田工業振興課長。 ◎岩田 工業振興課長 工業振興課です。  続きまして、資料3-2をご覧ください。  カーボンニュートラルの実現に向けまして、本県産業施策を検討する際の参考とするため、県内企業の脱炭素化に向けた取組状況等に係るアンケート調査を実施しましたので、その概要について説明させていただきます。
     なお、詳細な調査項目と回答内容につきましては、概要説明資料の次に、参考資料をつけております。  また、当資料に誤記がありますので、訂正をお願いします。右上に参考資料と記載している資料をご覧いただければと思います。  こちらの19ページのページ下、緑色で囲った部分の2つ目の丸の冒頭に「問18」との記載がありますが、こちらは「問14」が正解です。もう一度申し上げます。参考資料19ページの下の緑色で囲まれた部分、2つ目の丸の冒頭部分、「問18」の部分を「問14」に修正いただきたいと思います。  なお、概要説明資料には影響ありません。  それでは、概要説明資料3-2に戻りまして、説明させていただきます。  本アンケートの調査対象としては、自動車をはじめとする、とちぎ産業振興協議会会員企業及びとちぎ未来技術フォーラム会員企業の計705社に対して実施したものになります。  なお、調査の構成としては、大きく2つに分けますと、脱炭素化に向けた取組状況や課題等については全社を対象に、自動車の電動化の進展に伴う影響や取組状況については自動車関連の開発・生産に携わっている企業を対象に、それぞれ調査したものになります。  2ページ目です。脱炭素化に向けた取組状況や課題等についての調査結果について説明させていただきます。  まず、9割の企業から、脱炭素化に関して、「取り組む必要がある」という回答をいただきました。県内企業の取組意識は非常に高いという結果になっております。これについては、類似調査をしている他の自治体のデータと比較しても、高い数字だと認識しております。  しかしながら、次の丸ですが、中小企業の約3割は、脱炭素化に向けた具体的な取組を実施していないという結果で、こちらは、大企業の8%という数字と比べますと、県内中小企業の取組はやや遅れている状況です。  また、この取組を実施している企業に、具体的に何をしているかということを伺っておりまして、「省エネ設備の導入」、あるいは「自社エネルギー使用量の把握」といった、比較的効果が分かりやすく、投資リスクの低い取組が主となっておりました。  また、今後の脱炭素化に資する技術・製品の開発等に向けて、「自動車産業」「航空機産業」「蓄電池産業」への参入の関心が高いといった結果となっております。  脱炭素化に取り組む中での課題としては、「専門知識やノウハウの不足」「どのレベルまで対応が必要か分からない」「コストに見合う効果が見込めない」「取組を推進する人材がいない」、こういった回答が多くありました。  そして、必要な公的支援としては、「国や業界の動向等の情報提供」「設備投資への補助」「新技術・新製品開発支援」といったものが求められています。  続けて、3ページをお願いします。  自動車の電動化の進展に伴う影響や取組状況等についての調査結果です。県内中小企業では、電動化の進展に伴う今後の影響につきまして、「プラスの影響がある」は25%、「マイナスの影響がある」が34%ということで、拮抗してはおりますが「マイナスの影響がある」との回答が多い結果となりました。  「マイナスの影響がある」と回答した中小企業は、電気自動車等では不要になる「エンジン部品」、そして「駆動・伝導及び操縦装置部品」、こういったものの開発・生産に携わっている企業が多いという傾向がありました。  今後の電動化の進展に対応するため、各企業におきましては、「自動車分野における新規取引先の開拓」、あるいは「自動車ではない新分野への進出又は業態転換」に既に取り組んでいる状況にあります。  必要な公的支援につきましては、「国や業界等の情報提供」「設備投資への補助」、こういったものが多い結果となりました。  これらの結果を参考として、今後、県内企業の実態に沿った施策について検討を進めてまいりたいと思います。  説明は以上でございます。 ○螺良昭人 委員長 以上で説明は終了しました。  委員の質疑をお願いします。  相馬委員。 ◆相馬憲一 委員 それでは、ただいま説明いただきましたアンケートについてお伺いしたいのですが、回答率が22.7%となっており、77%近くの会社が回答していないということで、何か要因があって答えていないのか、まずはお聞かせいただきたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 岩田工業振興課長。 ◎岩田 工業振興課長 全体の回答率については、22.7%ということでした。要因ということですが、産業振興協議会はじめ、会員企業を対象にこれまでもアンケートを実施してきたところですが、今回の回答率はそれらと比べると、比較的高いという結果になっています。  とはいえ、22.7%ですので、回答がなかった会社については、新型コロナウイルス対策等で業務多忙であり、余裕がなかったものと認識しています。 ○螺良昭人 委員長 相馬委員。 ◆相馬憲一 委員 会社の数だけに認識をとらわれるわけではないのですが、会社毎に二酸化炭素の排出量が違います。この22.7%の会社が二酸化炭素排出量の大きい会社であれば、意識が高いということで、取り組んでいただけることは、県内における二酸化炭素排出量の抑制につながっていくと思います。全体の二酸化炭素の排出量と比べて、この22.7%の160社が占める二酸化炭素の排出量はどのくらいでしょうか。 ○螺良昭人 委員長 岩田工業振興課長。 ◎岩田 工業振興課長 22.7%の会社が占める割合については把握しておりませんが、今回調査している会社は中小企業が中心です。大規模排出事業者は大企業が多い傾向にありますので、排出量としては低い企業が多いと類推しますが、具体的なところは分からない状況です。 ○螺良昭人 委員長 相馬委員。 ◆相馬憲一 委員 ありがとうございます。  具体的にはわからないと思いますが、やはり二酸化炭素の排出量の大きい企業に努力をしていただくと排出の削減量が目に見えてくると思っておりますし、これからは小さい企業にも当然やっていただかなければいけませんが、効果を現すのであれば、やはり二酸化炭素排出量の大きい企業に努力をしていただく必要があると思っておりますので、よろしくお願いいたします。意見です。 ○螺良昭人 委員長 ほかにございますか。  野澤委員。 ◆野澤和一 委員 国の指針を受けて、県として具体的なプロジェクトを進めているという説明をいただきました。  先ほど、相馬委員が話していましたが、いわゆる関心度は非常に高いというアンケート結果が出ているということですが、結果として、中小企業は、関心はあるけれども、何をやったらよいのか手探りの状態というところが多いというのが現状だと思うのです。  ですから、ある意味では、具体的なプロジェクトや取組を進めていく上で、いわゆる県内の事業者、取りあえずこのとちぎ産業振興協議会や、とちぎ未来技術フォーラムの会員企業である705社については、つぶさに現状を把握して、どのようなニーズが現場にあるのか把握する必要があるのではないかと思うのです。  そのことが、これから様々な予算を投入しながら具体的にやっていく上で、効果的に結果を出すことにつながりますので、アンケート結果だけではなく、全社に対する具体的なヒアリングや調査をしながら適正な対策を進めていく必要があると思うのですが、この辺りの認識はいかがでしょうか。 ○螺良昭人 委員長 岩田工業振興課長。 ◎岩田 工業振興課長 ご指摘がありました今回のアンケートについては、全ての取りかかりということで、まずは実施させていただいたところです。  こちらは、705社にアンケートさせていただいておりますが、この結果に基づいて、特徴的な企業には企業訪問等も進めさせていただいているところです。全ての会社を訪問するのはなかなか難しいかもしれませんが、特徴的な会社からは個別に話を伺いまして、次の施策につなげていくことができればと考えております。 ○螺良昭人 委員長 野澤委員。 ◆野澤和一 委員 業態転換や新規事業を創造することは、対策や方針としては書きやすい言葉ですが、現実として事業者が具体的にどのように取り組んでいくかは、非常に大きな問題です。  ですから、その辺りは、先ほど話したように現状を把握していないと適切な手を打てないと思いますので、今、スタートしていくという初期段階においては、まずは現状をしっかりと把握しておくことが重要ですので、この点をよろしくお願いしたいと思います。以上です。 ○螺良昭人 委員長 松井委員。 ◆松井正一 委員 今、野澤委員が指摘したことと関連があるのですが、今日説明いただいた本県の取組という中で、とりわけ3ページでは、自動車産業において、次世代自動車への対応を重点的に支援すると記載されている一方で、その後、工業振興課長の説明にあったアンケートでは、これまでのものづくり産業、とりわけ自動車関連産業が、電動化の進展に伴ってマイナスの影響があると答えている。不安材料がある中で、非常に不安や戸惑いがあるような答えが随所にあったと思います。  しかしながら、栃木県の特徴である自動車関連産業が、まさにこのカーボンニュートラルに向けた役割を果たすことで大きな効果があると思っています。このアンケートで露呈した課題などを含めて、カーボンニュートラルに向けたロードマップの中で、こういった部分については一定の整理をする考えなのか、差し支えない範囲で教えていただければと思います。 ○螺良昭人 委員長 石井次長兼産業政策課長。 ◎石井 次長兼産業政策課長 当然、ロードマップの中に、この産業分野の取組も一部ですが記載する予定です。産業労働観光部として、例えば現在の枠組みからさらに何か取組が必要になるかといったことにつきましても、ロードマップの検討と併せて十分に検討していきたいと考えております。 ○螺良昭人 委員長 松井委員。 ◆松井正一 委員 分かりました。  そのような展開になることを、今、説明を受けて確認ができてよかったと思います。いずれにしても部品関係や組立て関係から、私の分からないものまで、様々な関連産業がありますが、そういったこれまで自動車関連産業に貢献してきた方々をある意味上手に移行させることも含めて、しっかりと支援していくことが、栃木県ならではの一つの自動車関連産業に対する温かい支援の在り方かと思っていますので、意見として申し述べておきます。以上です。 ○螺良昭人 委員長 山田委員。 ◆山田みやこ 委員 資料1国の取組で、令和2年10月に内閣総理大臣の所信表明があって、そして令和3年1月の施政方針演説の中で、エネルギー政策の見直しということになりました。  そして、先進的に取り組んでいる3つの県の資料を見せていただいた後、本県の取組を見たときに、本県の場合は新とちぎ産業成長戦略において全てを網羅する形での提案になっていて、その中の6つの重点プロジェクトのうち、①と③、こういったことが入っているという説明があったのですが、カーボンニュートラルに対しての取組は、全体の中の1つとしてではなく、もっと重点化していくべきであったと、この資料を見て感じたのですが、担当ではどのような捉え方をしてきたのか、お伺いしたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 辻産業労働観光部長。 ◎辻 産業労働観光部長 カーボンニュートラルへの取組は、必要不可欠と認識しておりますが、この成長戦略をつくる過程で並行的につくったものですから、成長戦略の記述はこの程度にとどまっている部分があります。  しかしながら、今後、本県としましても、このカーボンニュートラルへの取組を進めていかなければいけないのは当然のことですので、今後具体的にどのような形で支援していくかは、今、次長から説明がありましたが、別途検討して取りまとめていきたいと考えております。 ○螺良昭人 委員長 山田委員。 ◆山田みやこ 委員 分かりました。そういうことだと思うのですが、もう少し発信力が欲しかったと感じたものですから、民間企業と一緒になって連携しながら、栃木県としても一歩進んだ方針や、施策として取り組んでいただきたいと、今日の資料を見て感じましたので、よろしくお願いいたします。 ○螺良昭人 委員長 辻産業労働観光部長。 ◎辻 産業労働観光部長 ご指摘のとおりでして、本委員会の意見も伺いながら、取組を取りまとめて、発信させていただきたいと思っております。 ○螺良昭人 委員長 保母委員。 ◆保母欽一郎 委員 資料3-1の2ページに、新たな企業の立地促進とあるのですが、いわゆる産業団地、工業団地等々の開発において、このカーボンニュートラルや、国が進めているイノベーションに向かった、そういう企業の誘致も含めて、今後を見据えた社会インフラの整備が重要だと思っています。その辺りについて、産業労働観光部として今考えている、また、新たに取り組もうとしているものがあるか、聞かせていただけますか。 ○螺良昭人 委員長 辻産業労働観光部長。 ◎辻 産業労働観光部長 ご指摘のとおり、産業団地の整備につきまして、ここに書いていますのは、まずは先ほどの14分野が載っておりますが、できれば今後成長が見込まれる企業を優先的に誘致したいという考えがあるのが一つ。  それから、産業団地そのものの魅力として、こういったカーボンニュートラルに資する団地が整備できることが望ましいと考えております。ただ、具体的にどこまで県のレベルでできるか、現在検討しておりまして、そういったことを踏まえて、今後、産業団地の整備や企業誘致に取り組んでまいりたいと考えております。 ○螺良昭人 委員長 保母委員。 ◆保母欽一郎 委員 いずれにしても、今後そういった先端企業や、それ以外の企業も取り込んでいく必要がある。いわゆる時代の流れとしては、その時代に見合ったインフラのしっかりしたところに企業が流れてくるということは、もう分かっている話なので、その辺りをしっかりと先取りしながら、そういったインフラを造っていく、いわゆる開発していくことをぜひ、検討だけではなく準備を進めていただくことをまず一つ、要望として言っておきます。  もう1点ありますが、3ページです。戦略3産業、この中で環境・新素材が入っているのは、非常によかったと思っているのですが、その中で特に、54%を占める森林、林業の扱いに着目した取組がこれから非常に重要であると考えております。  そういう面では、木質を利用した新素材を使用した工業製品に着目したところは恐らく産業労働観光部だけでは弱いと思うので、やはり環境森林部としっかり連携して、その辺りをにらんだ取組をしっかりとやっていただきたいと思います。要望です。 ○螺良昭人 委員長 ほかにございますか。よろしいですか。                 (「なし」と呼ぶ声あり) ○螺良昭人 委員長 なければ、以上で質疑を終了いたします。  次に、参考人招致に移ります。  本日は、国立研究開発法人産業技術総合研究所エネルギー・環境領域ゼロエミッション研究戦略部イノベーションコーディネーターであります西尾匡弘様から、カーボンニュートラル実現に向けて県内企業に求められる取組について、意見を伺ってまいりたいと思います。  なお、西尾様の勤務先がございます東京都に緊急事態宣言が発令されていることから、本日はオンライン形式で実施させていただきますので、ご了承願います。  それでは、誠に恐縮でございますが、西尾様とのオンライン接続の準備が整いますまで、暫時休憩とさせていただきます。  再開は、11時を目安とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。                  午前10時39分 休憩             ────────────────────                  午前10時57分 再開 ○螺良昭人 委員長 それでは、委員会を再開いたします。  これより、オンライン形式による参考人招致により、経済と環境の好循環をつくる産業政策の推進について、意見聴取を行います。  本件に関する事項について、説明いただくため、参考人として、国立研究開発法人産業技術総合研究所エネルギー・環境領域ゼロエミッション研究戦略部イノベーションコーディネーター、西尾匡弘様にオンライン形式でご参加いただいております。  西尾様、こんにちは。 ◎西尾匡弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所エネルギー・環境領域ゼロエミッション研究戦略部イノベーションコーディネーター こんにちは。よろしくお願いいたします。 ○螺良昭人 委員長 よろしくお願いします。  栃木県議会グリーン社会実現特別委員会の螺良でございます。本日は、大変お世話になります。  西尾様におかれましては、現在、産業技術総合研究所において、エネルギー・環境領域におけるイノベーションコーディネーターとしてご奉職されており、エネルギー・環境領域の技術コンサルタント、共同研究に関する企業との連携や、産総研コンソーシアム活動による産産学学の連携推進等に係る業務に従事されております。  また、西尾様には、とちぎカーボンニュートラル実現会議において、オブザーバーも務めていただいているところであります。  本日は、大変お忙しい中、本委員会の求めに応じ、オンライン形式による参考人招致にご参加を賜り、誠にありがとうございます。委員会を代表して、厚く御礼を申し上げます。  それでは、議事の進め方ですが、西尾様から、カーボンニュートラル実現に向けて県内企業に求められる取組について説明をいただいた後、質疑を行いたいと考えております。  なお、本日ご説明いただく内容は、執行部においても大変参考になると思われるため、職員の同席を認めておりますので、ご了承願います。  それでは、西尾様、説明をよろしくお願いいたします。 ◎西尾匡弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所エネルギー・環境領域ゼロエミッション研究戦略部イノベーションコーディネーター ただいま紹介いただきました、産業技術総合研究所の西尾です。本日、カーボンニュートラル社会の実現に向けてということで、資料の説明、それから質疑に対応させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  簡単に自己紹介しておきますと、現在のイノベーションコーディネーターとしての職責に就いていますが、もともとはCO2を回収して地中に埋めるCCSと呼ばれる技術の研究者として、30年来、研究をやってきたベースがあります。
     さらに言いますと、経済産業省の環境政策課地球環境対策室への出向や、内閣府の総合科学技術会議でエネルギー環境の担当もさせていただいた経緯もありまして、こういった対応を現在させていただいているところです。そういったバックグラウンドもありますので、若干、大上段に構えた資料になっています。  直近で、今月に入りまして、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、第6次評価報告書を出しております。その中で、最新の情報が紹介されていますので、その辺りを紹介したいと思います。  ちなみに、IPCCは、「こうやらなきゃいけないんだ」ということを言っている団体ではなく、科学的に見てこういったところが確からしいと言う団体で、最終的に何をするかは政策決定者が行うという位置づけになっています。しかしながら、昨今の状況も含めて、非常に大きな影響力がある団体になっております。  報告書自体は1,000ページを超える大文になっているのですが、その中で、政策決定者向けの重要なメッセージとしてエッセンスをまとめた要約、ここだけはしっかりと読んでくださいという部分から、引用してきました。  現在、カーボンニュートラルを実現しなければならないことのバックグラウンドに、将来あり得る気候として、21世紀中に地球温暖化が1.5度、2度を超え、パリ協定で長期目標とするところに今世紀中に到達してしまう確率が高いと記載されています。  さらに、将来の気候変動の抑制というところでは、赤字で示していますが、少なくともCO2の正味ゼロ排出、いわゆるカーボンニュートラルを達成する必要性が非常に高いという表現がされています。  パリ協定で言っている目標というのは、この全地球の平均気温の上昇を産業革命以前からどこまでで抑えるかということです。その辺りを実際の測定値を含めて示した図になっています。1850年から現在観測されるところで、1.2度までは既に上昇してしまっていて、非常に慣性力の大きい事象ですので、このまま1.5度、2度に限りなく近づいていくことは想像に難くありません。それに人類の活動が影響しているということを、このIPCCは30年間、この第6次報告書に至るまでを見て、その可能性が高まっているとしています。  それで、本日話題となりますカーボンニュートラルが、世の中に広がるにあたってはどういう技術等が使われるのかというところで、これは昨年のカーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の中からのポンチ絵を引っ張ってまいりました。  見ていただきますと、現状使っている、例えば原子力発電や、LNG・石炭火力発電という非常に堅いものが中心にありながら、そこにアンモニア発電、水素発電、あるいは再生可能エネルギーといったものが将来不可欠であることが、この絵で示されていることを理解していただけると思います。  さらに、この辺り、FCV、EV、PHVといった自動車に関しても、現状動き始めているものもありますが、使われる燃料は今後、合成燃料を使っていく、あるいはEVやFCVでいろいろなものが動いていくことも想定されていたり、ゼロエミッションビル、ゼロエミッションハウスといったものが利用面では重要になってきます。それで、例えばトラックや、飛行機も電気で動かす時代が、2050年、2100年をターゲットにしたときには、視野に入ってくるという絵になっています。  世界の状況ということもありますが、足元の日本の状況について説明します。これは、集計されている最新の二酸化炭素排出量の内訳です。これは環境省の報告書から持ってまいりました。これは、どのような分野がCO2を排出していて、そこがどういう対応をしていかなければならないのかということを見ることによって、ある程度理解していただけるということで持ってまいりました。  全体の約3分の1が産業から排出されていて、運輸18.6%、業務その他が17.4%と、こちらのいわゆる産業から出ているものが大体8割くらいになります。家計関連で、家庭から出ているものは、冷暖房・給湯、運輸が占めていることが分かります。カーボンニュートラル、ゼロエミッションを標榜するとなると、どこのセクター、どこの部門も逃れることができないということが、問題の難しさを物語っていると思います。  左側の円グラフを見ていただきますと、産業では電力由来のCO2が全体の13.2%で、電力由来でないCO2の排出がかなりの量を占めていることが分かります。  さらに、運輸に目を向けていただくと、電力由来が0.7%に過ぎません。これはほぼ、化石資源に依存しているということで、明確にシステムを変えていかなければならないということが見てとれます。  反対に、家庭や業務は、電力由来が大体3分の2以上を占める状況になっています。ということは、もともとの電力がカーボンニュートラルになってくると、その分だけCO2の排出量がどんどん減っていくということで、この電化が非常に効果的な対策になり得るということを示しています。  これも大きな話になりますが、我が国のエネルギーバランスは、いわゆる原子力と再生可能エネルギーを除きますと、ほぼ8割方、化石資源に頼っている状況です。電力で4割から5割くらい、非電力での使い方、例えば熱源として使うといったところで5割から6割くらいを占めているのが見てとれます。最終的に、エネルギーを使うときには、実際に、もともとのエネルギー総量に対して3分の2程度しか使われておらず、逆に言うと、残り3分の1が熱としてロスしてしまっていることになります。  これを見ていただくと、電源の脱炭素化、要は再生可能エネルギーが拡大することによって、最終的な低炭素化の実現が促進されます。一方で、この非電力は、ほとんどが熱源として使われているものが多いので、熱をどうやって有効利用していくのか、そのまま放熱してしまうものをどこまで低減していけるかが鍵になってくることを示しています。  これは、私どもの研究所で、エネルギーシステム、エネルギーシナリオの分析をした事例です。現在では、2050年に100%カーボンニュートラルを実現するケースを試算しておりますが、もともとの2050年の80%削減も非常に高い目標でした。それを、どういったことをしていけば、80%削減が達成できるのかということをシナリオ分析した結果です。  この段階では、20%のCO2排出が残ると考えていまして、見ていただくと、産業のセクターで、ある程度残るであろうということを試算したものになります。それ以外に運輸も若干残ります。それから、エネルギー変換ですが、これは実際にカーボンニュートラルにしなければいけないとなると、この分のCO2を吸収する必要があります。せんだって、栃木県の事務局からお伺いした話では、たしか3%程度、森林の吸収を考慮していたと思いますが、そのレベルをはるかに超える形で、ほかの吸収源が必要になることが想定されます。  状況について、グリーン成長戦略の中で表現をしたものを引っ張ってまいりました。2030年で46%減という目標になっていますが、どれぐらいの割りつけになるかということは、明記できていません。第6次エネルギー基本計画の案が出てまいりましたので、この辺りの数字も出てきますが、それが実現できるかできないかというところは今後の検討課題で、ここで数字を出して目標にすることはなかなか難しいと思います。  それで、先ほどの図の中で、カーボンニュートラルのための植林、それからDACCS、これはDirect Air CaPture Carbon Storageで、ここでバランスを取ることによって、ゼロを実現する絵姿になっていることが分かります。  9ページの図は、統合イノベーション戦略推進会議で決定された、革新的環境イノベーション戦略におけるイノベーション・アクションプランの重点領域を示しています。技術領域でいろいろと書かれていますが、基本的にここに書かれているもので、カーボンニュートラル実現に必要なアイテムが網羅されていると思っていただいてよろしいと思います。  まず、①非化石エネルギーで、化石資源に頼らない、CO2を出さないエネルギー源を確保することが一丁目一番地となります。  その次に、②エネルギーネットワーク、これは電気を使うということで、この辺りはIoTなどで電気をうまく使う。使う人たちに必要なだけ電力を供給するという体制から、デマンドレスポンスという言い方もありますが、使っていく人たちに必要な分は供給していくけれども、逆に足りなくなりそうなときには、そのデマンドも抑えるといったことがここでは必要になってくるということです。  それから、③が水素になります。水素は、もちろん電気をつくる、それから燃やしても、出てくるのは水だけでクリーンなエネルギーです。ただし、水素はそのままあるものではありませんので、何らかの形で水を電解する、あるいは化石燃料から転換することで、この水素を確保しなければいけないということが今後の課題になってきます。しかも、安くということがありますので、今ここは非常に難しいところです。  ④はカーボンリサイクルとCCUS。CCUSは、Carbon CaPture,Utilization and Storageの略です。CO2を大量に排出するところから、それを回収して有効利用する。あるいは、Storage(貯留)で、大気中に排出しない、大気中に排出しなければ温暖化に働くことはないということです。それ以外にも化石資源を使わないということでありますが、今の世の中、炭素源がないといろいろな、例えばプラスチックを造ることができませんし、燃料として使うこともできないので、そういったところにカーボンリサイクルという格好で、排出されているCO2を使って燃料を造る、あるいは材料、原料にするといったようなことが、一つ技術課題ということで重点領域に挙げられています。  ⑤ゼロエミ農林水産業に関しましては、パーセンテージとしてはそれなりの、4分の1程度を占めていますが、私の範疇外なので、ここは割愛をさせていただきます。  次に、これは少し前の資料ですが、平成30年にエネルギー情勢懇談会の中で、例えば運輸2.1億トン、産業3.1億トンを低炭素化ということで考えていたものを、脱炭素、カーボンニュートラルにすると考え直したときに何をしていかなければいけないのか、どう変わっていくのかということが比較的分かりやすく記載されています。  一番大きいところでは、例えば運輸における内燃機関、要するにエンジンです。エンジンは電動化していくことがやはり必要になってくる。それから、手動運転、人間が運転していたものが、効率化を図るためにも自動運転を図らなければいけないといったことが記載されておりますので、参考になるのではないかと思います。また、金属車体、これは重いと燃費が悪くなるということで、マルチマテリアルで軽量化を目指しています。  産業では、スマート化で何とかしのいでいこうという話であったものが、CO2を使っていく、水素をうまく使ったプロセスを構築しなければいけないとか、あるいは化石エネルギー原料を非化石エネルギー原料にしていくといったことは、先ほど申し上げたとおりです。  それで、本日の話題として産業の中にどのように展開していくかということで、これもカーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の中からポンチ絵を持ってまいりました。見ていただくと、今まで電気、それから化石燃料を使っていたところを、水素が大きな役割を果たすようになる社会がイメージされていることがお分かりいただけるかと思います。もし必要があれば、またこの辺りの話もさせていただきたいと思います。  そのような中で、今、私が関与している研究開発の中で、特に輸送業界のカーボンニュートラルをどうやって実現していくかというシナリオの検討例について、少し触れさせていただきたいと思います。  グローバルに見ても、輸送業界においては、要するに効率化をするのにもやはり電動化が不可欠になっています。それから、再生可能エネルギー、化石資源によらないエネルギーをいかに利用していくかということが次のポイントです。3つ目のポイントとしては、CO2削減、先ほどのCO2の吸収源の拡大や、あるいは技術への投資といったところでカーボンニュートラルを実現できるだろうという、絵姿を描いているということの紹介です。  例えば、一番上のフォルクスワーゲングループは、まずは電動化を中心に進めるとしています。それから、再生可能エネルギーへの切替えは、CN、これはカーボンニュートラルですが、CO2に水素を加えることで化石資源からではない燃料を造って、それがカーボンニュートラルに寄与するということを想定しています。さらに、それでも削減し切れない、足りない部分に関しては、地球上のCO2吸収、この場合は植林などへ投資することによる、いわゆるカーボンオフセットで何とかしていきたいというシナリオが表現されています。  2番目のゼネラルモーターズです。ゼネラルモーターズもほぼ同じ構成になっていますが、植林だけではなく、CO2を減らしたというカーボンオフセット、クレジットといったもので、つじつまを合わせようとしています。自動車業界は、こういった形で考えているところが非常に多いかと思います。  一方で、飛行機です。空路に関して言いますと、こちらは電動化に関して、実は現在検討がされています。国土交通省でのプロジェクトも進んでいたり、あるいはいわゆる機体メーカー、ボーイングであったりエアバスは実際に電動化できないかという検討がされていて、私どもにもいろいろと、話を承る機会があります。  けれども、航空機も非常に長いスパンで造っていくものなので、今のところすぐに電動化するシナリオは見えていませんが、航空機燃料としては、例えば藻類から出るバイオ燃料を使うといったことが一つの選択肢かと思います。さらには、直接大気からのCO2回収、先ほど申し上げたDirect Air CaPtureへの投資を進めていくというのが、ユナイテッドエアラインズのシナリオです。  これは自動車用内燃機関技術研究組合という、トヨタ、日産、マツダ、スズキ、ダイハツ等々、OEM9社が全部集まって、自動車のエンジンに関する基礎・基本的な研究をする組合がございます。そちらでは、本当にエンジンがなくなる世の中になるかどうかも含めてシナリオの検討、カーボンニュートラル実現にどう取り組んでいくのかということを検討している事例です。  電気自動車、電動自動車への置き換えによる排出削減が先行しているわけですが、必ずしも排出削減に直接寄与するとは限らないことをまず念頭に置いています。と申しますのは、例えば電気自動車に充電して走らせるときにはCO2を排出しないけれども、実際その電気がどこからきているかということを考えると、例えば石油・天然ガスあるいは石炭が用いられて発電した電気を使っているとすると、もともとその電気はCO2を排出しているということで、それをWell to Wheelという言い方をします。要するに、油田からタイヤといいますか、駆動までということで考えると、EVでは、例えば日本の場合は45レベルです。中国はもっと石炭での発電が多いということで、電気自動車を使っていても日本よりも多くのCO2を出してしまっています。  HEV、これはハイブリッドのEVですが、ハイブリッド車の場合は、燃料から、Well to Tank、タンクに入れるまでのCO2排出量は少ないけれども、走っている間のランニングを考えると大体52くらいで、大体日本と中国のちょうど中間ぐらいのレベル、要は普通の電気自動車と比べて遜色のないレベルであるということが言えます。  一方、ノルウエーの場合は、ほぼ水力で発電が賄われておりますので、電気自動車にすることだけでかなりの量ノルウェーのCO2削減に寄与することが分かります。  各国で、内燃機関車の販売禁止といった動きもありますが、内燃機関を造っているメーカーからすると、排出量を最大限削減できるシナリオをつくっていくことが不可欠であろうということです。  さらには、このカーボンニュートラル燃料、先ほど申し上げたCO2と水素を合成して造った化石資源によらない燃料を使う、あるいはCO2除去技術、先ほどのDirect Air CaPtureであったり、車の排ガスからもCO2を回収する技術を導入することで対応ができるのではないかということを今検討しているというものです。  スライドとしては、これを一応最後にさせていただいておりますが、産業界/地域中小企業に求められる役割は、一体どのようなものになるのかということでまとめさせていただきました。若干、言葉足らずなところがありましたので、その辺りは口頭で補則させていただきながら説明させていただきます。  恐らく、地域中小企業も含めて考えますと、サプライチェーン全体のCO2排出量を算定する動きが今出てきております。例えば先ほどの自動車のOEMの、実際にその部品を作っているサプライヤのCO2排出量まで責任を負うという話になってきているということで、その辺りは避けられない課題になってきていると思います。  対応の方向性としては、まずは、省エネルギーを推進したり、エネルギーの効率化、効率的な使用を推進していくことが非常に重要になってくるだろうと思います。省エネ法という法律がありますので、大規模にエネルギーを使っているところは年間1%の省エネルギーを図ることがもともと求められていましたが、大企業だけではなくて、中小も含めてそういったところに対応していかなければいけないという段階にだんだんなってきます。  さらに言いますと、需要側の大幅な効率化が求められるということで、第6次エネルギー基本計画、現状はまだ案が出てきただけではありますが、実際に需要側、特に民生あたりでも60%を超える省エネルギーの実現が盛り込まれないと、最終的につじつまが合わなくなってきていると思います。  実際に省エネルギーは、本来、エネルギー消費量が減って、その分だけコストが抑えられるといった見返りはあるけれども、ただ、それに対して先行する投資が大きく、なかなか進んでこなかったという実情があります。これが、CO2を減らすということになると、見返りがあるかどうかも分からないのに先行投資が必要ということで、もっと厳しくなってきます。少なくとも省エネルギーについては、何らかの形で推進していただく必要があるかと思います。  2つ目ですが、クリーンエネルギーの選択。これは再生可能エネルギーにどんどんシフトしていく、太陽光発電であったり風力に転換していく、その拡大とそれに使うシステムが非常に重要になってくるわけですが、現状では供給に制約といいますかリミットがあって、それでコストも高いということからすると、それをどれだけ受け入れられるかといった問題はあるかと思います。  系統が全てつながっているということで、例えば電気だけではなく、今後は地産地消を志向したエネルギーシステムをつくっていく、利用を推進していくということが必要になると思います。その際には、エネルギー源がほかにも必要で、特に、地熱であったり地中熱といったもの、あるいは水力も大規模なものはなかなか難しいので小水力発電、あるいはバイオマスの利用といったところで、今あるもので使えるものをローカルに使っていくことを考えていく必要があるかと思います。  3番目ですが、脱炭素技術開発やカーボンオフセットへの投資とあります。カーボンオフセットへの投資、これはCO2を削減しているところに協力していくという形ですが、今後考えていかなければいけないと思うのは、この脱炭素技術の開発で、先ほどのポンチ絵にもありましたけれども、今はまだ技術がないものもありますし、技術を使っていくためにこれから実証していかなければならない、社会に実装していかなければならないといったことにいろいろと協力していただけるとよいかと思います。もちろんそこに対する投資も呼び込むということはできるのではないかと思います。  カーボンオフセットに関して言うと、排出削減は本当に困難で、最後の手段としてここへの投資も必要だとは思いますが、ここは最小限の範囲でやる必要があると思います。当然にそれを使っていくことが難しいということはお分かりいただけるかと思います。  これらのことを進めていくために、まずは実際にエネルギーをどのように使っているのかということを見える化する必要があります。組織のエネルギーマネジメントシステムといったものも重要になってきます。役立つツールとしては、例えば省エネ診断といったものがあるかと思います。  さらに、エネルギーと表裏一体でとありますが、どのようなエネルギーを使っているかによって、CO2排出がどうなってくるかということがあります。今後、それを算定していくことでの見える化も重要なファクターになると考えているところです。  脱炭素化に向けた削減計画の策定ということで、これは中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブックから引用させていただきました。長期的なエネルギーをどのようにしていくのか、それから短・中期的に省エネをどのようにやっていくのか、再生可能エネルギーの調達手段の検討、削減対策の精査と計画の取りまとめといった段階を踏んで、脱炭素化に向けた計画が実行されると理解しています。  ちょうど時間となりましたので、私の今回の発表はこれで終了させていただきます。 以上です。 ○螺良昭人 委員長 ご説明ありがとうございました。  これから質疑に入ります。  なお、西尾様におかれましては、各委員からの質疑に対して答弁をする際は、挙手をお願いいたします。私から指名しますので、それからご発言をお願いしたいと思います。  それでは、委員の皆様から、質疑やご意見がございましたらお願いいたします。いかがですか。  松井委員。 ◆松井正一 委員 委員の松井と申します。  資料の8ページ、2050年カーボンニュートラルの実現というページですが、先ほど説明にもあったように、例えば森林吸収源で3%と、なかなか数字が上がらない中で、実際にカーボンニュートラルを実現するためには、炭素の除去も意外と重要なファクターであるという話がありまして、西尾様の考えでは、吸収という部分については、どれくらいが理想かというところをもう少し説明いただいてよろしいでしょうか。 ○螺良昭人 委員長 西尾様、よろしくお願いします。 ◎西尾匡弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所エネルギー・環境領域ゼロエミッション研究戦略部イノベーションコーディネーター 森林吸収源で3%、これも本当に3%なのかということも含めて議論がいろいろとあるかと思います。この中では、DACCSというものに非常に期待しているということが示されていますが、もう一つは、カーボンニュートラルのバイオマスから出てくるCO2を回収して、例えば埋めてしまう。CCSということで、BECCS(ベックス)という言い方をしますが、そういったものも含めて使っていくことがある程度必要になってくると思っています。  この図の前のところで、私どもの研究所が分析したものですけれども、これでも20%残る分に関しては、吸収で相殺する必要があるとしていましたが、これ以上に、例えば水素をたくさん、輸入してでもいいから使って、その分を減らすといったことも想定されています。この辺りがどれくらい使えるようになるかということで、恐らく話は変わってくるのだろうと思います。  そのため、どれくらいにまでできるかというところを含めて、なかなかダイレクトに数字をお示しすることは難しいのですが、産業等々から考えると、最終的には全体の1割くらいに関しては、何らかの吸収源を用意しないと、多分成立しないのではないかと思います。 ○螺良昭人 委員長 よろしいですか。  松井委員。 ◆松井正一 委員 私も漠然と聞いておりますので、考え方の部分で、例えば森林吸収源のさらなる部分として再生可能エネルギー、とりわけバイオマスについての言及もありましたので、なるほどと承知したところです。率については、なかなか難しいと思いつつも伺わせていただきましたが、承知いたしました。  せっかくですので、もう1か所お尋ねしたいと思います。  資料14ページで、産業界/地域中小企業に求められる役割という説明の中で、カーボンオフセット等への投資という説明があったのですが、いわゆる中小企業等々がこういった部分に対応するに当たりまして、例えば省エネ診断や省エネの見える化についての言及がありまして、それらについて、支援が必要ではないかという問題提起が西尾先生からあったと思うのですが、その点について、改めて見解をお伺いしたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 西尾様、よろしくお願いします。 ◎西尾匡弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所エネルギー・環境領域ゼロエミッション研究戦略部イノベーションコーディネーター カーボンオフセットへの投資というところで、直接それをどれくらいやっていくという話ではなくて、私がお示ししたのは、これまでどういう格好、どういう形でどれくらいの量のCO2を排出し、エネルギーを使ってきたかを、まずは現状把握することが重要だということです。  その中で、省エネ診断、これは例えば省エネルギーセンターが実施しているといったこともありますし、組織のエネルギーマネジメントシステムとのリンクも含めますと、国際標準のISOの50000シリーズの中で、エネルギーマネジメントシステム、なかなか普及はしていないのですが、その中の考え方が非常に使えるのではないかと思っています。  そのような中で、省エネ法の範囲もだんだん広がっており、国の施策としても、そういったところまで支援しながらやっていく方向性なのだろうと理解しています。  答えになっていないかもしれませんが、まずは何がどうなっているのかというところをしっかり理解する。私どもの中でも、ライフサイクルアセスメントの研究をしている、あるいはそのデータベースを構築しているグループがありまして、そういったところが今、大小たくさんの企業に、どういった状況になっているか理解していただくということもやっています。そこが見えてこないと、最終的な対策もなかなか打ちにくいと思います。 ○螺良昭人 委員長 松井委員。 ◆松井正一 委員 いずれにしましても、今、提起された内容で、今後の国の施策の方向性を見極めるということが改めて理解できました。ありがとうございました。 ○螺良昭人 委員長 ほかに質問はございませんか。  相馬委員。 ◆相馬憲一 委員 西尾様の経歴の中で、30年間取り組まれてきたということで、こちらの資料にもネガティブエミッション技術の紹介をされており、その中で、CO2を地下、または耐久消費財に貯蔵するという技術と書かれていますが、具体的な取組事例がありましたら教えていただければありがたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 西尾様、よろしくお願いいたします。 ◎西尾匡弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所エネルギー・環境領域ゼロエミッション研究戦略部イノベーションコーディネーター ネガティブエミッション技術に関しての参考資料からの質問と承りました。  今のところ、大気中のCO2、特にバイオマスを使って耐久消費財に貯蔵ということに関しては、まだ国際的に合意がされているものではなく、特にこれは2020年に提案されて、今まさにこれを議論していかなければならない段階に来ていると理解しています。  そのため、今申し上げたとおりで、実践例は今のところ出てきておりませんが、前提として、もともと森林は、切ってしまったらCO2として排出してしまったことにする枠組みで今までCO2、カーボンニュートラルの議論をしてきているわけですが、いやいや、森林を切ったとしても、それをちゃんと使っている、そのまま現存するならば、これはCO2を固定したと同等であるという考え方がようやく現在、認知、共有されて、これからルールづくりをしていく段階にあるという理解です。 ○螺良昭人 委員長 相馬委員。 ◆相馬憲一 委員 具体的な取組例はないということで、これからの様々な研究や議論を待たなければいけないのですが、こういったものに築造、貯蔵できるというものがありましたら、理論上で結構ですので、紹介いただければありがたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 西尾様、よろしくお願いします。 ◎西尾匡弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所エネルギー・環境領域ゼロエミッション研究戦略部イノベーションコーディネーター バイオマスを用いた耐久消費財、例えば木造の家を建てると、CO2が実際そこにあると言えます。それが廃棄されるまでは、カーボンをそこに固定していると言えると思っております。  地下に埋めるというのは、別の問題になってきますが、この場合はCO2そのものを埋めることを多分イメージした図になっているかと思いますので、いずれにしましても、このバイオマスを使ってということは、森林資源もしっかりと使っていくということとイコールかと思っております。(「お答えありがとうございました」の声あり) ○螺良昭人 委員長 ほかにございますか。  野澤委員。 ◆野澤和一 委員 西尾様に聞いてみたいのですが、国が定めている計画で、2050年カーボンニュートラルに向けて社会はこのようなイメージに変化していくという、非常に分かりやすいフローチャートのような絵図があるわけですが、我々地方にとって、あるいは中小企業や生活者にとって、このカーボンニュートラルを実現していくために電化を進めていく必要があるということは認識しているのですが、先ほどの話の中で、中国にあっては、電化は進んでいるけれども、電力をつくる段階でのCO2の排出が大変多いという話もありました。日本も同様に、当然ですが地方の電化を推進していくという方向性では、国レベル、あるいは電力を供給する側の電源の部分で、かなり積極的に化石に頼らないエネルギーの供給体制をつくらなければいけないし、インフラを整備していかなければならないと思うのですが、この辺りの進み具合はどのような具合でしょうか。 ○螺良昭人 委員長 西尾様、よろしくお願いいたします。 ◎西尾匡弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所エネルギー・環境領域ゼロエミッション研究戦略部イノベーションコーディネーター 特に、大型の発電設備は、数十年間使っていくことを前提として造っています。その中で、3.11東日本大震災があったからということもありますが、かなり旧来で、効率があまりよくない火力発電所も動いていたという状況がありました。第6次エネルギー基本計画の中では、再生可能エネルギーをとにかく中心的なエネルギー源として使っていく、拡大していくのと同時に、効率の悪い化石燃料を使った発電所を閉鎖していく、置き換えていくということが今回うたわれているところです。  そういった意味では、もちろん原子力が減っている分、火力が増えていたという状況もありますので、そういったことも含めて、二酸化炭素の排出源単位を抑えていくことを念頭に置いた基本計画が、今後、国から正式に出てくると思っております。そちらを参考にしていただければと思います。 ○螺良昭人 委員長 野澤委員。 ◆野澤和一 委員 国で、そういった動きがあるということですが、では、地方として現段階で取り組めることは、エネルギーの地産地消としてエリアを限定して、例えば太陽光や小水力で発電したものを地域ごとに供給していく、あるいはゼロエネルギーの家、ZEHや、企業の関係であればゼロエネルギービルという取組が、ある意味では地方として優先的に進めていくやり方になるという考えでよろしいでしょうか。 ○螺良昭人 委員長 西尾様、お願いいたします。
    ◎西尾匡弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所エネルギー・環境領域ゼロエミッション研究戦略部イノベーションコーディネーター まさにご理解のとおりだと思います。  特に、地産地消ということで申し上げましたが、先ほどご指摘いただいたZEHも含めて、自前で何かのエネルギー源を持っていないとなかなか実現できないところがあります。その中で、先ほどの小水力や、地熱、地中熱、まあ、地熱と言ってしまうと例えば温泉がどうのという話も出てきますが、少なくとも地中熱を使うことによって、例えば冷暖房に関して30%、40%といった効率化を図ることができるといったことです。そういった技術は今後広げていく必要があると思っております。  少なくともそこから手をつけていく、もちろんビルにしても家にしても、耐久消費財で、何十年使うことを念頭に置かなければいけませんので、置き換わっていくときに、確実にそういったものが使えるようにしていくことが重要だと思います。 ○螺良昭人 委員長 野澤委員。 ◆野澤和一 委員 最後に、そういったものをやるためには、どうしても蓄電池の技術、今よりも効率よく蓄電できる技術が必要だと思うのですが、その辺りの進み具合については、どのように認識されているでしょうか。 ○螺良昭人 委員長 西尾様、よろしくお願いいたします。 ◎西尾匡弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所エネルギー・環境領域ゼロエミッション研究戦略部イノベーションコーディネーター 今回の私の説明の中で、蓄電池にあまり触れていませんでしたが、特に自動車、いわゆる電動自動車です。ハイブリッド車やFCVも含めて、これから普及していったときに、動かしたいときに電気がなくなっているようでは困るので、そういったところを含めてのシステム化が今後進んでいくのだろうと思います。  なかなか、家庭用の蓄電池は高額にもなりますし、今、政府でも検討しています。例えばEVの電池のリサイクルも含めたシステムが出来上がって、それなりに浸透してくると思っています。(「ありがとうございました」の声あり) ○螺良昭人 委員長 よろしいですか。(「はい」の声あり)  ほかにございますか。                 (「なし」と呼ぶ声あり) ○螺良昭人 委員長 よろしければ、参考人からの意見聴取を終了させていただきます。  最後に、私から一言、お礼を申し上げます。  西尾様には、大変お忙しい中、本県議会のグリーン社会実現特別委員会にご参加をいただきまして、誠にありがとうございます。  本日お伺いいたしました貴重なご意見につきましては、本委員会における報告書の取りまとめの参考にさせていただきたいと思います。  また、カーボンニュートラルに向けた施策を進める上で大変有意義な話でございましたので、県執行部におきましても、今後の取組の参考にしていただきたいと思います。  最後となりますが、西尾様の今後のますますのご活躍をご祈念申し上げ、御礼の挨拶に代えさせていただきます。  以上で、オンライン形式による参考人招致を終了させていただきます。  次に、議事(3)経済と環境の好循環をつくる産業政策の推進についての委員間討議を行います。  本日は、執行部からの説明や参考人招致において聴取した内容を踏まえながら、経済と環境の好循環をつくる産業政策の推進に今後どのように取り組んでいくべきか、委員の皆様から幅広い意見をいただきたいと思います。  なお、今回は委員間討議ですので、執行部への質疑はお控えいただきますようお願いいたします。  それでは、何かございましたらお願いいたします。  保母委員。 ◆保母欽一郎 委員 今、西尾様から説明いただいたことや、これまでいろいろな参考人からも様々な意見、説明をいただいた内容を踏まえますと、これから県が策定するロードマップにおいては、短期的な目標、つまり2030年に国が46%とする中で、県が現実としてできることに集中して、どこまで目標値に近づけるかということにまずは特化して、そして新技術を見据えていく。先ほど申し上げましたが、新たな産業団地や住宅団地を形成する上で、新技術、まあ、水素ということになるかもしれませんが、ほかにデジタル新技術、そういったものも加味しながら、そのようなインフラをどのように構築していくか、中長期的に準備をしていくことを中心に作成していくことが本県にとって極めて重要かと思います。  特に分野別に言えば、54%の森林という資源、これをいかに新技術の中で、木材という視点ではなくて、新たな分野の資源として加味して取り組んでいくかということを念頭に、策定していくべきであると感じております。その辺りを、私から申し上げたいと思います。以上でございます。 ○螺良昭人 委員長 ほかにございますか。  石坂委員。 ◆石坂太 委員 今の西尾様の話を伺いますと、化石燃料を減らして再生可能エネルギーを増やしていかなければならないことを考えますと、本県として、再生可能エネルギーの設備をどのくらい必要とするのか計画的に数値化していく必要があると感じましたので、その辺りの、現時点で賄っている量や、成果も含めて今後検討していく必要があろうかと思います。 ○螺良昭人 委員長 松井委員。 ◆松井正一 委員 今、石坂委員から話が出たことは、私も同感でありまして、前回までの委員会でも、再生可能エネルギーのポテンシャル調査をやることに私も何回か言及しましたが、栃木県がどれほど再生可能エネルギーの部門ごとにポテンシャルがあるかということが把握でき次第、やはり今、国の動向やいろいろな流れの中で、再生可能エネルギーに対するさらなる目標値を定めながら、カーボンニュートラルの栃木県の計画に相伴わせていく。  それで、石坂委員からも数値化という話がありましたように、具体的にここまで頑張ろうということが分かれば、それを役割分担して、県民、事業者、その他関係各位がどのような対応をするかということにつながっていくと思うので、これはひとつの、栃木県ならではの方向性かと思いますので、私も個人的にその点については鋭意頑張ってまいりたいという意見としたいと思います。以上です。 ○螺良昭人 委員長 野澤委員。 ◆野澤和一 委員 再生可能エネルギーは、消費者としては、どうしても高額な電源、電気になるので、なかなか難しい。また、FIT法、固定価格買取制度がなくなったので、ある意味では太陽光や、そういった再生可能エネルギーのいわゆる地産地消は、やはり重要なポイントになると考えています。  ですので、例えばエネルギーをこの地域で賄っていくという、いわゆる地域別のエネルギー供給のやり方や、あるいは個人の家であれば、自分の家の中で消費する電源は自分の屋根の上で発電したもので全て消費できるという形に対してのいわゆる補助など、そういう支援の強化もやはり必要になるだろうと思います。 ○螺良昭人 委員長 保母委員。 ◆保母欽一郎 委員 このアンケート調査結果を見ても、なかなか、中小も含めて民間が進めていくには、かなりタイムラグがあると思います。そして、当面、2030年の46%という、国の目標に県も取り組んでいくとするならば、やはり戦後の殖産興業と同じように行政が主導、率先して、先ほど数値目標の話が出ましたが、自分のところで、例えばEVをどのくらい導入していくといったことや、県有施設や各25市町の施設の中で、まさに太陽光発電を取り入れ、蓄電池を組み入れた、そういうものを行政が引っ張ってどれだけやるかということに尽きると思っていますので、率先する、引っ張る意味で、その辺りの推進目標、行政としての取組目標もしっかりとロードマップの中に入れていただきたいと思います。意見です。 ○螺良昭人 委員長 ほかにございますか。  渡辺委員。 ◆渡辺幸子 委員 先ほど、保母委員もおっしゃられていた、以前からも議論に入っていましたが、県のプレーヤーとしての役割という部分を整理しなければいけないと思っているのですが、今回のアンケートや、あるいは西尾先生から伺った、例えば自動車でしたらフォルクスワーゲンのグループであったり、ゼネラルモーターズであったり、そういった大企業が中小企業に対して影響を与えていくことが、本県においては特に重要だと思っています。  なので、そういうことを考えていくと、やはり企業はもちろんですが、市町も含めて県がサポートしていくべき対象を考えると、企業なら伴走型の支援であったり、市町を含めての補助、あるいは入札条件の緩和など、様々な分野で県が中小企業を動かしていく取組を、これから喫緊でやっていけるのではないかと感じました。  今日、いろいろ伺いながら見ていると、脱炭素の技術開発は、北海道の苫小牧市やそういった大きなところでの実証実験もされているみたいですが、なかなかそれを今すぐ県としてどうこうするというのは難しいと思いますが、やはりアンケートの中では、省エネ設備の導入や、自社エネルギーの使用量の把握、見える化に既に取り組まれているところもありますので、そういったところを増やすのもそうですが、そうでない部分も県が先導、後押しをしてあげられる部分はぜひ進めていただきたいと思いましたので、要望させていただきたいと思います。 ○螺良昭人 委員長 小菅委員。 ◆小菅哲男 委員 渡辺委員と保母委員からも出ましたが、県が率先してということは大切だと思いますが、冒頭にアンケートの回答率が低かったという話がありました。幾ら県が率先しても、中小企業をないがしろにして、考え方を聞かないで置いていってしまうと互いの距離が乖離してしまいます。時間に少しゆとりを持って、もう一度、企業のアンケート調査をしていただいて、やはり二人三脚で進めていくことが大事かと感じましたので、意見として言っておきます。 ○螺良昭人 委員長 ほかにございますか。よろしいですか。                 (「なし」と呼ぶ声あり) ○螺良昭人 委員長 それでは、最後に、私から一言だけ発言させていただきたいと思います。  先ほどから議題にあるように、経済と環境の好循環をつくる産業政策ということで本日協議したわけで、ほかの分野においても同じなのですが、やはり一つは、2030年が大きな区切りであると考えます。  2030年までの間に目標を具体的にきっちりつくって、そしてその数値に基づいてやれることは全てやる。その上で、それ以降は、新技術の開発をもって進めていかなければ、とてもカーボンニュートラルは不可能に近いと思います。恐らく、現状の施策を全てかき集めても、カーボンニュートラルを達成することは非常に難しいわけですから、そういった意味では、2030年までの大きな目標に向かって今考えられるものは全てやる、そんな思いで目標を立てていただければよいのではないかと私は思っています。  さらに、先ほど初めて二酸化炭素地下貯留という話も出ているわけですから、いろいろな新技術が出てくると思うので、それには、産官学全て合わせて素早く対応していく、そういう形で好循環をつくっていかなければならないと考えます。  このようなことを、今後、委員の皆さんから出された意見も併せて、報告書の中に盛り込ませていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次に、その他の件で、何かございましたらお願いいたします。よろしいですか。                 (「なし」と呼ぶ声あり) ○螺良昭人 委員長 その他の件については終了いたします。  次に、次回委員会についてでございますが、9月9日木曜日午前10時から、2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップ素案を議題として開催いたします。  なお、次回予定していた、産業技術総合研究所再生可能エネルギー統合実証フィールドへの現地調査は、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を考慮し、誠に残念ながら中止とさせていただきたいと思いますので、ご了承願います。  以上で、本日の日程は全て終了いたしました。  これをもちまして、本日のグリーン社会実現特別委員会を閉会いたします。                  午後0時08分 閉会...